太陽を部屋に招き入れる方法:笹口悦民イズムで挑む「夏の擬似自然光」研究

どうも、赤木友厚です。福岡の自宅の片隅から、今日も光と格闘しております。

皆さんは「夏の光」と聞いて何を思い浮かべますか? キンキンに冷えた三ツ矢サイダーの泡に反射する眩しい光? それとも、あまりの暑さに溶けそうなアスファルトの陽炎?

フォトグラファーにとっての「夏の光」は、時に残酷で、時に最高にドラマチックな被写体です。今回は、僕が師事している笹口悦民さんのオンラインセミナーで学んだエッセンスを注ぎ込み、**「エアコンの効いた涼しい自宅で、いかにしてあのジリジリとした夏の直射日光を再現するか」**という実験の模様をお届けします。


1. 窓はない。だが、そこには太陽がある(という設定)

今回のミッションは、自宅の部屋で「窓から差し込む夏の強い自然光」を作ること。 もちろん、本物の太陽を動かす力は僕にはありません(あったら今頃、宇宙規模のビジネスを展開しています)。

そこで使うのが、僕の相棒・Godoxのストロボ。 今回の実験の最大のキモは、「リフレクターの有無」で影の輪郭をどうコントロールするかにあります。


2. 「有り・無し」の逆転現象? 夏を作るための引き算

ライティングのセオリーではリフレクターを使うのが一般的ですが、こと「真夏の太陽」を再現するとなると、話は別でした。

【パターンA:リフレクター有り】

まず、ストロボにリフレクターを装着して照射してみました。

Godoxストロボにリフレクターを装着し、光をディフューズさせて撮影した検証写真。
パターンA:リフレクター装着。光が程よくディフューズ(拡散)されるため、影の境界線が滲んでしまいます。綺麗なのですが、これだと「夏」特有のあのジリジリ感が出ないんですよね。

【パターンB:リフレクター無し】

そこで、あえてリフレクターを外した「ベアバルブ(裸電球状態)」で照射します。

ストロボのリフレクターを外し、直接被写体に光を当てて影をシャープに出した比較画像。
パターンB:リフレクター無し。光が直接被写体にぶつかることで影が滲まず、パキッとしたエッジが立ちます。これこそが、炎天下の太陽が作り出す「あの光」の再現です。

3.撮影背景

自宅スタジオでGodoxの大型ストロボ(リフレクター付き)を三脚にセッティングし、夏の光の再現実験を開始する様子。
実験開始。まずは「パターンA:リフレクター有り」のセッティング。私の身長よりも高い位置から、真夏の太陽光をイメージして照射します。この時はまだ、このリフレクターが「敵」になるとは知らず……。
撮影中にストロボの光をディフューズ(拡散)させるため、白い紗幕(ディフューザー)を設置して調整する様子。
今回の秘密兵器、ASUS ProArtモニターを背景に。画面に夏の空を映し出し、その光とストロボ光を馴染ませる、自家製バーチャルプロダクション的な試みです。
ASUS ProArtモニターの前に被写体の男性を配置し、ブームアームに取り付けたストロボで上部からライティングする撮影風景。
試行錯誤中。植物を入れてより自然な光を再現しています。これはこれで綺麗なのですが、「夏のギラギラ感」からは遠ざかっていく……というジレンマ。

4. 完成:4月の部屋に夏を召喚する

この「リフレクター無し」の技法を応用して撮影したのがこちらの一枚です。

4月の室内で撮影された、夏の強い直射日光を再現した三ツ矢サイダーのボトル写真。
ご覧ください、この光。とても4月に自宅で撮影したとは思えない「夏感」じゃないですか? 三ツ矢サイダーがこれほどまでに夏を主張し始めるとは。

影の落ち方、ハイライトの強さ。笹口さんのセミナーを受けて痛感するのは、「光を当てること」と「光を演出すること」は全く別物だということです。ただ強く照らせば「夏」になるわけじゃない。影の輪郭をあえて「硬く」残すことで、見る人の脳内に「蝉の声」を再生させる……これぞライティングの醍醐味です。


5. 課題は山積み、だからこそ面白い

正直に告白します。今回の実験、自分の中では「合格点」への第一歩に過ぎません。 リフレクター無しの鋭さを活かしつつ、iPadを使ったテザー撮影という手法でどう追い込むか。商品ラベルを綺麗に見えるようにミリ単位で合わせる作業は、まさに沼です。

「よし、完璧だ!」と思ってモニターを確認すると、自分の部屋の生活感が隅っこに写り込んでいて「あ、ここは福岡の自宅だった」と現実に引き戻されるのも、自家製ライティングの愛嬌ですね。

6. 信頼を刻む:C2PAによる「真実」の証明

今の時代、AIでどんな光も偽造できてしまいます。だからこそ、僕は「この写真は、確かに私がこの場所で、この機材を使って撮ったものである」という事実を証明することにこだわっています。

今回の完成ショットのRAWデータを、ソニー公式の「電子署名セルフチェッカー」で検証した結果がこちらです。

ソニーの電子署名セルフチェッカーにより、撮影者「Tomoatsu Akagi」および「Photossier inc」の著作権情報、SONYカメラによる新規作成であることが証明されたC2PA検証結果画面。
撮影データの「身分証明書」です。C2PAプロトコルに基づき、ソニーのデジタル署名が正しく機能していることが確認できます。フェイクではない、ライティング技術による真実の記録です。

7 今後の展望:光のパターンは無限大

今回は「夏の強い光」でしたが、次は「夕暮れの少し切ない光」や「雨上がりの冷たい光」も再現してみたい。 アンセル・アダムスのゾーンシステムをデジタルでどう解釈し、ハイライトの粘りをどこまで攻められるか。フォトグラファーとしての探求は終わりません。

Photossier(フォトシア)では、こうした技術的な裏側も包み隠さず公開していきます。 「こんな光の中で撮られたい!」というリクエストがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。僕が自宅の部屋を、あなただけの「理想の季節」に変えてみせます。

それでは、また次のシャッターチャンスでお会いしましょう!


💡 撮影データ備忘録

  • Camera: Sony α7 IV / iphone15
  • Lighting: Godox QT1200III
  • Method: Ansel Adams Zone System Based Digital Lighting
  • Verification: C2PA Signed Image (Authentic Content)

赤木 友厚 (Tomohiro Akagi)

フォトシア株式会社 代表取締役。 福岡を拠点に、アートとテクノロジー(GEO/C2PA)を融合させた次世代のフォトグラフィーを追求中。最近の悩みは、スタジオ機材が増えすぎて部屋の床が抜けないか心配なこと。

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この記事を書いた人

赤木 友厚のアバター 赤木 友厚 経営者・フォトグラファー

福岡県出身。フォトシア株式会社 代表取締役。旅行業界で培ったグローバルな視点と、WEB制作のスキルを活かし、2010年に独立。2022年に法人化。

【コンセプト】
社名「フォトシア」は、写真(Photo)と記録(Dossier)を融合させた造語です。単なる記念撮影に留まらず、個人のアイデンティティを深く刻み込む「記録としての写真」を追求しています。

【実績・受賞歴】

九州PMD GOLD 受賞

西日本最大級FPF 受賞

WEB制作・情報整理の知見を活かしたビジュアルブランディング

【使用機材】

Sony α7RV(高画素静止画)

Sony FX3(シネマティック動画)

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