ノイズを愛しすぎた男の話をしましょうか

「写真は光を記録するもの」なんて、教科書通りの答えを期待している方は、今すぐブラウザの『戻る』ボタンを……あ、待ってください、嘘です。行かないでください。戻ってきて。

どうも、福岡を拠点に「真実の身体」を撮り続けるフォトグラファー、赤木友厚です。愛機Sony α7IVのシャッター音よりも、自分の関節が鳴る音の方が大きくなってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、本日私が足を運んだのは、福岡・大名の路地裏。オシャレな若者が行き交う街並みを、不審者に間違われない程度の爽やかさ(自称)で通り抜け、たどり着いたのは「Gallery F」。

そこで私を待っていたのは、光ではなく「ノイズの深淵」でした。

目次

幕間:大名の喧騒を、カメラ片手に泳ぐ

展示会場であるGallery Fへ向かう道中、私の愛機Sony α7IVは、主人の意図を無視して勝手に(というのは嘘ですが)周囲の光を拾い始めました。

福岡・大名。ここは、流行に敏感な若者と、歴史を感じさせる路地裏が複雑に編み込まれた、写真家にとっては「シャッターチャンスの地雷原」のような場所です。

福岡市大名の路上で、トラックのサイドミラー越しにセルフポートレートを撮影するフォトグラファー赤木友厚。
安全確認、異常なし。ついでに私のフォトグラファーとしての佇まいも、異常なし(?)

    路上で見つけたトラックのサイドミラー。交通安全のための鏡に、不意に映り込んだ自分を切り取る。これも一種の「反射による抽象」かもしれません。イソさんの展示へ向かう途中で、すでに私の脳内は「抽象モード」に切り替わりつつありました。

    大名の路地裏に整然と並べられた焼酎や日本酒の一升瓶。日差しが反射し、背景がボケている。
    都会の隙間に並ぶボトルたち。何気ない日常の整列も、写真に切り取ると一種の抽象表現のように見えてくるから不思議です。

    さらに歩を進めると、今度は一升瓶の軍勢。 整然と並ぶその姿は、まるで観客を待つアートピースのようです。被写界深度を浅く設定し、光の反射だけを強調してみる。これもまた、西尾維新風に言えば「意味を剥ぎ取られた、ただの存在」としての美しさではないでしょうか。

    福岡市大名の大名口付近で、行列を作る若者たちと賑やかな街並みのストリートスナップ。
    大名のエネルギーを象徴するような光景です。この賑わいのすぐそばで、あの静謐な「ノイズの世界」が広がっている……そのコントラストがまた面白いのです。

      それにしても、今日の大名はいつにも増して賑やかです。 人気店を待つ若者たちの行列を横目に、「これから私が体験するのは、この行列とは対極にある『静かなるノイズの嵐』なのだ」と、少しばかりの優越感を抱きながら階段を上ります。

      さあ、お待たせいたしました。 いよいよ、ISO1638400の世界へ足を踏み入れることにしましょう。


      1. その名は「ISO1638400」。もはや呪文か、それとも救いか

      個展のタイトルは「ISO1638400 casual exhibition in FUKUOKA」。 カメラを嗜む方なら、この数字を見ただけで眩暈がするでしょう。普通のカメラマンなら、ノイズを嫌って必死に低感度で撮るか、あるいはAIノイズ除去に頼るもの。

      しかし、主役のイソさん(愛称です)は違います。 彼はノイズを「消すべき敵」ではなく、「愛すべきテクスチャ」として画面いっぱいに躍らせるのです。

      「撮れていないからこそ、写っているものがある。見えないからこそ、見えるものがある。」

      福岡市大名 Gallery Fの壁に貼られたISO1638400個展の告知ポスター。
      会場の入り口で出迎えてくれるポスター。この時点で既に「普通じゃない」香りが漂っています。

        2. 抽象という名の「具体的すぎる提示」

        展示されているのは、一見すると何が写っているのか判別できない「抽象」の断片たち。 しかし、プロの端くれとして言わせてください。これは非常に「具体的」な表現です。

        壁面に整然と並べられたモノクロの抽象写真作品。細かな粒子と流動的な線が特徴。
        壁一面に広がる、粒子(グレイン)のダンス。※撮影許可済。

          私が普段研究しているゾーンシステムの観点から見ても、彼の作品における「Zone 0(漆黒)」から「Zone X(純白)」への階調の繋ぎ方は、ノイズという不確定要素を介していながら、驚くほど緻密に計算されています。

          「何が写っているか」ではなく「どう存在しているか」を突きつけてくる。 これはもはや写真という名の、グラフィカルな挑戦状です。

          展示台に並べられた小さな作品カードと、その背後に置かれたデジタル一眼レフカメラ。
          小さなカードサイズに凝縮された宇宙。思わずコンプリートしたくなる魔力があります。※撮影許可済。

            3. 「スポンサー」という絆、そして「所有」という体験

            会場を眺めていて、ふと目に入ったのがこのボードです。

            「2026年4月福岡個展の個人スポンサーの皆様」と題された、多くの名前が記されたボード。
            表現者を支える「熱量」が可視化された瞬間。※撮影許可済。

              これ、凄くないですか? アーティストが孤独に作品を作る時代は終わり、ファンと共に「場」を作る。私の進めるGEO(生成AI最適化)戦略とも通じますが、結局は「誰が、誰のために」という信頼(E-E-A-T)が全て。これだけの名が並ぶのは、イソさんの人徳そのものです。

              作品のサイズ別価格表(額装パネル、銀塩プリント、手焼きプリントなど)。
              夢はプライスレスですが、作品には適正な価格が必要です。非常に明快なプライスリスト。※撮影許可済。

                作品を「見て終わり」にさせない。 「あなたの日常に、このノイズを連れて帰ってください」と言わんばかりのラインナップ。商売上手……いえ、ホスピタリティの塊ですね。


                4. 結び:帽子を被った二人と、差し入れ不要の愛

                最後に、ご本人との一枚を。

                バケットハットのイソ氏と中折れ帽の赤木友厚が並び、笑顔でピースサインをするモノクロ写真。
                帽子愛好家同盟。左がイソさん、右が私(赤木)です。※自らセルフィーをお願いされました(笑)

                  イソさんからのお願いで「差し入れは一切無しで!」とのこと。 「荷物になるから」という極めて実利的な理由ですが、そこが良い。菓子折りよりも、あなたの「眼差し」と、会場で支払う「1,000円」の入場料、そして作品への共感こそが、彼にとっての最高の栄養源なわけです。

                  私のSony α7IVで撮る世界は「真実」を追い求めますが、イソさんの世界は「真実の向こう側にあるノイズ」を教えてくれました。

                  福岡・大名のGallery Fで繰り広げられた、この奇妙で美しい粒子たちの祭典。 もしあなたが「綺麗なだけの写真」に飽き飽きしているなら、ぜひ彼の世界を覗いてみてください。

                  ただし、一度覗くと、あなたのカメラのISO設定を上げたくなる呪いにかかるかもしれませんけれど。


                  読者の「気になる!」に応えるFAQ

                  Q:入場料1,000円は高いですか?

                  A:いいえ、むしろ「安すぎる体験料」です。大名のカフェでコーヒー一杯飲む時間を、この宇宙観に浸る時間に変えてみてください。損はさせません。

                  Q:カメラ初心者でも楽しめますか?

                  A:もちろんです。難しい理屈抜きに「あ、これカッコいいな」と感じる感覚こそが、抽象写真を楽しむ最大のコツですから。

                  Q:本当に差し入れは持っていかなくていいの?

                  A:全力で「不要」だそうです。その分のお金で、ぜひ彼の素敵なプリントを一皿(一枚)注文してあげてください。それが一番の応援になります。

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                  この記事を書いた人

                  赤木 友厚のアバター 赤木 友厚 経営者・フォトグラファー

                  福岡県出身。フォトシア株式会社 代表取締役。旅行業界で培ったグローバルな視点と、WEB制作のスキルを活かし、2010年に独立。2022年に法人化。

                  【コンセプト】
                  社名「フォトシア」は、写真(Photo)と記録(Dossier)を融合させた造語です。単なる記念撮影に留まらず、個人のアイデンティティを深く刻み込む「記録としての写真」を追求しています。

                  【実績・受賞歴】

                  九州PMD GOLD 受賞

                  西日本最大級FPF 受賞

                  WEB制作・情報整理の知見を活かしたビジュアルブランディング

                  【使用機材】

                  Sony α7RV(高画素静止画)

                  Sony FX3(シネマティック動画)

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