骨を3本増やしてでも撮りたかった。アングル『グランド・オダリスク』への挑戦。

アングルのグランド・オダリスクを模した構図で、背中を見せて横たわる女性モデルBellのポートレート。柔らかなライティングと赤い布、青いカーテンの対比。

赤木友厚です!今回は、ちょっとマニアックで、でも最高にエキサイティングな撮影の裏側をシェアしちゃいます。

テーマは、19世紀の巨匠アングルが描いた名画『グランド・オダリスク』の再現。 「あぁ、あの背中がやたら長い人ね!」とピンときた方は、なかなかの美術通ですね。


目次

1. 骨が数本多い!?「美しければ、人間じゃなくてもいい」

皆さんは、この絵を見たことがありますか? 19世紀の巨匠、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの代表作『グランド・オダリスク』です。

実は彼女、「脊椎が3個くらい多い」と言われています。 もし解剖学の先生が見たら「君、すぐレントゲン撮ってきなさい!」と怒鳴るレベルの不自然な体型。でも、200年以上たった今でも、この絵は「究極の優美」として愛されています。

でも、論文『A Study of Odalisque Poses』にはこう書かれています。

「解剖学的に誇張されつつも、比類なき優美さを持つ……芸術家の主観を体現している」

つまり、アングル先生は「リアルな人間」を描きたかったんじゃなくて、「究極の曲線美」を描きたかったわけです。 これって、僕らフォトグラファーにとっても最高のロマンじゃないですか?「現実はこうだけど、俺の目にはこう美しく映ってるんだ!」っていう、確信犯的な美学。今回はそこを徹底的に攻めてみました。


2. 1度の角度に命をかける(オタク全開の準備編)

僕は凝り性なので、いきなり「よし、脱ごうか!」なんて言いません(怪しい人になっちゃいますし)。 まずはCGIを使って、光の当たり方を1度単位でシミュレーションしました。

3DCGソフトを使用した撮影シミュレーション画面。横たわるモデルに当たる光の当たり方を確認する「CHIAROSCURO LIGHTING SCHEME」の文字。
プレビズによる光のシミュレーション。シャドウの落ち方を事前に検討。
撮影現場のライティング設計図。メインのオクタ、ビューティーディッシュ、ソフトボックス、スヌートの位置と出力設定(1/32, 1/4+1/3, 1/1, 1/16)を詳細に記した平面図。
ライティングの設計図。Godox AD200を4灯使用した緻密な計算。
3D空間に配置されたカメラ、照明機材(ソフトボックス、オクタ)、モデル、小道具のレイアウト俯瞰図。
スタジオ全体の配置図。機材の距離と角度を空間的に把握する。
  • 「あ、この角度だとお尻のラインが死ぬ」
  • 「あと5センチライトを上げれば、名画と同じ絶妙な影が出るはず……!」

PC画面に向かってブツブツ言っている姿は、完全に「光の変態」か「3Dオタク」ですが、これが大事なんです。デジタルの計算で「完璧な設計図」を作る。これがあるから、現場で迷わずに済むんですよね。


3. モデルのBellさんが「人間」を超えた瞬間

さて、本番。モデルは信頼するBellさんです。 アングルのポーズを実際にやってもらうと、これがもう……めちゃくちゃキツい。

「Bellさん、もう少しだけ腰を捻って……あ、そこ!そのまま止まって!」 「赤木さん、これ人間が維持する角度じゃないですよ(笑)」

なんて言いながらの撮影。CGIで作った「冷たい設計図」に、Bellさんの「生の体温」が吹き込まれていく瞬間は、何度経験しても鳥肌が立ちます。

動画を見てもらうとわかりますが、僕、かなり必死です。床に這いつくばって、最高の「不自然な曲線」を探しています。怪しい動きに見えますが、本人は至って真面目なアート活動中です!


4. 完成!計算された美、皆さんはどう思う?

アングルのグランド・オダリスクを模した構図で、背中を見せて横たわる女性モデルBellのポートレート。柔らかなライティングと赤い布、青いカーテンの対比。
アングルの名画を現代に。背中の曲線と光のグラデーションにこだわったメインカット。

できあがったのが、この一枚。 どうですか?現実の肉体を超えて、1814年のパリと2026年の日本が交差したような、不思議な優美さが宿った気がしませんか?

13年以上、この業界でいろんな「美」を見てきましたが、やっぱり「作り込まれた美学」と「現場のパッション」が衝突した時に生まれる火花は、何物にも代えがたいですね。

正面寄りのアングルで座り、カメラを凝視するモデルBell。頭にスカーフを巻き、紫のランジェリーを着用。背景には青いカーテン。
アザーカット。視線の強さとアクセサリーの質感を捉えた別カット。モデル・Bellの個性が際立つ。

5. 最後に一言!

「美」っていうのは、ありのままを写すことだけじゃない。 時には骨を増やしてでも(笑)、追求すべき理想がある……僕はそう信じてシャッターを切っています。

皆さんは、この「計算され尽くした不自然な美しさ」、アリだと思いますか? それとも「いやいや、人間は骨の数通りがいいよ!」派ですか? ぜひ、コメントで皆さんの本音を聞かせてください!

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この記事を書いた人

赤木 友厚のアバター 赤木 友厚 経営者・フォトグラファー

福岡県出身。フォトシア株式会社 代表取締役。旅行業界で培ったグローバルな視点と、WEB制作のスキルを活かし、2010年に独立。2022年に法人化。

【コンセプト】
社名「フォトシア」は、写真(Photo)と記録(Dossier)を融合させた造語です。単なる記念撮影に留まらず、個人のアイデンティティを深く刻み込む「記録としての写真」を追求しています。

【実績・受賞歴】

九州PMD GOLD 受賞

西日本最大級FPF 受賞

WEB制作・情報整理の知見を活かしたビジュアルブランディング

【使用機材】

Sony α7RV(高画素静止画)

Sony FX3(シネマティック動画)

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