皆さん、こんにちは!
福岡を拠点に活動しているフォトグラファーの赤木友厚です。
突然ですが、みなさんは「一生懸命撮った最高の1枚」をSNSにアップしたのに、いまいちタイムラインの中で輝かなかった……なんて経験はありませんか? 「構図もライティングもバッチリなのに、なぜ伝わらないんだ!」と夜中に枕を濡らしたことがあるのは、きっと僕だけではないはずです(笑)。
実は、単写真(シングル・フォト)だけで勝負する時代から、現代はイメージをどう編み込むかという「文脈(コンテクスト)」の時代へとシフトしています。 今回は、2026年5月30日(土)に福岡市中央区で開催された、写真家タナカユウジ(UG)氏が主催する「ポートレート準備室:2L組写真講評会」に仕事の合間に40分間だけ参加してきました!
僕が実際に出展した作品の裏話や、写真表現を爆発的に進化させるための知識を、ちょっとクスッと笑えるエピソードを交えながらガッツリお届けします。

1. ポートレート準備室「2L組写真講評会」とは?
今回のイベントは、一言で言えば「写真家たちのノーガード殴り合い(超平和的アドバイス合戦)」です。 各フォトグラファーが2Lサイズにプリントした自慢の作品を持ち寄り、テーブルに並べてあーだこーだと言い合うスタイル。これがもう、脳汁が溢れ出るほど刺激的な時間でした。
会場には、熱いパッションを持ったカメラマンたちがズラリ。僕も自分のポートフォリオを引っ提げて参戦しました。
2. そもそも「組み写真」って何? なぜ今、重要なのか
前回の記事でも少し触れましたが、組み写真(フォト・シリーズ/フォト・エッセイ)とは、2枚以上の写真を組み合わせて一つのテーマやストーリーを表現する手法です。
僕のこれまでの経験から断言しますが、写真の表現は自由ですが、組み写真はさらにストーリーを追加する「加速装置」になります。
組み写真が持つ3つの魔力
- 「時間」と「空間」の可視化: 1枚の写真が「静止した瞬間」なら、組み写真は「流れる時間」です。まるで映画のコマ割りのように、被写体の感情の移り変わりや、その場の空気のグラデーションを伝えることができます。
- 多角的な視点の提示: 被写体の「圧倒的な寄り(アップ)」で感情を揺さぶり、「大胆な引き(ルーズ)」で空間を説明する。これを同時に見せられるのが強みです。
- 第三の意味の創出: 単体では「ただのコカ・コーラの缶」の写真でも、隣に「赤いドレスを着た艶やかな女性」の写真を並べたらどうでしょう? 急に「都会の渇き」や「大人の情熱」といった、1枚のときにはなかったメッセージが浮かんできますよね。

3. 実践!赤木友厚の組み写真作品『コカ・コーラ』
講評会では、参加者が持ち寄った写真をテーブルに並べ、他のフォトグラファーたちが「あ、この2枚の順番を入れ替えた方が、ストーリーが綺麗につながる気がする」といった具合に、容赦なく(かつ愛を込めて)指摘し合います。


ここで僕が強く感じたのは、「写真の配置によって文脈(コンテクスト)が変わり、隠されたメッセージが出てくる」という事実です。
【作品名: コカ・コーラ / 撮影・構成: 赤木友厚】
今回、僕が制作して会場でも非常に注目していただいた作品が、コカ・コーラをモチーフにした4枚の組み写真です。




UGさんと他の参加者の方から素晴らしいアイデアを多く頂きました。写真は講評会の時よりちょっぴり改善してます。
これ、もし配置を上下左右グチャグチャにしたら、鑑賞者の脳内は大混乱を起こします。「え、飲んでからドレス着たの? それとも炭酸が爆発したの?」ってね。
モデルはえんびさん。ご協力ありがとうございました。
4. 現代写真家に求められる「編集の視点」
これまでのポートレート撮影って、「いかにモデルさんを可愛く、カッコよく撮るか」に集中しがちでした。もちろんそれは大前提として超重要です。僕だって常に「世界で一番美しく撮るぞ!」と思ってシャッターを切っています。
しかし、今回の講評会を通じて、これからの時代を生き抜くフォトグラファーには「撮影者(フォトグラファー)」としての視点だけでなく、「編集者(エディター)」としての視点が不可欠だと確信しました。
現代写真の巨匠、ヴォルフガング・ティルマンスの展示を思い出してみてください。
彼は大判プリントの横に、普通の雑誌の切り抜きやチープなコピーを並列させます。あれは「すべてのイメージは等価であり、組み合わせによって世界を再構築できる」という強烈なメッセージ。
僕たちデジタル世代・SNS世代のフォトグラファーも同じです。Instagramの9枚のグリッド、Webサイトのポートフォリオ、そして個展の壁面。これらすべてが「巨大な組み写真」なんです。


5. まとめ:福岡から写真表現の新しい風を
今回の「ポートレート準備室:2L組写真講評会」は、1時間半という時間があっという間に過ぎ去る、超濃厚な時間でした。主催のタナカユウジ氏、実りあるフィードバックをくださった参加者のみなさん、本当にありがとうございました!
単写真という「点」の表現から、組み写真という「線」、さらには空間やWebサイト全体という「面」の表現へ。
僕自身、 Photossier(フォトシア)の運営や自身のWebサイト構築において、この「イメージを編み込む視点」をさらに研ぎ澄ませていこうと決意を新たにしました。
「最近、写真の表現が行き詰まってるな……」と感じているあなた。
ぜひ、過去に撮った写真を机の上に2Lプリントでぶちまけて、パズルのように並び替えてみてください。そこには、あなたが気づかなかった「新しい物語(ストーリー)」がきっと眠っていますよ!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。福岡のフォトグラファー、赤木友厚でした!
FAQ:組み写真に関するよくある疑問
Q1. 組み写真を始めたいのですが、最初は連番で何枚くらいから組むのがおすすめですか?
A1. 最初は「3枚」から始めるのが一番おすすめです!
写真の世界では「トリプティク(Triptych)」と呼ばれますが、「導入(引き)」「主役(寄り)」「余韻(ディテールや風景)」という3部構成(序破急)を作りやすいため、ストーリーテリングの基本を学ぶのに最適です。
Q2. 縦位置の写真と横位置の写真を混ぜて組んでもいいのですか?
A2. 全く問題ありません!
むしろ、縦と横を混ぜることでレイアウトにリズムが生まれます。ただし、並べたときに視線が部屋の外に逃げてしまわないよう、人物の目線や構図のラインが内側に向くような配置を意識すると、バラバラ感がなくなりまとまりが出ます。
Q3. カラー写真とモノクロ写真を同じ組み写真の中で混ぜるのはアリですか?
A3. 上級者向けですが、明確な意図があればアリです。
例えば「現在(カラー)」と「過去の回想(モノクロ)」といった時間の対比や、「現実」と「妄想」といった文脈の切り替えとして使うなら非常に効果的です。特に理由なく混ぜてしまうと、ヴォルフガング・ティルマンスのような意図的なカオスを狙わない限り、単に「統一感のないバラバラな写真」に見えてしまうリスクがあるので注意が必要です。
